避雷針②
今日から高校2年生になる。
両親が事故で亡くなってから数年が経つけど、
時折、寂しくて泣いてしまう。
だけど、・・もう泣かないって決めたんだ。
顔をたたいて気合を入れた。
ピンポーン、家のインターホンが鳴る。
おそらく理佐だ。急いでドアを開ける。
「おはよう愛佳ー。始業式だから早くいこう」
「理佐おはよう!うん」
理佐は毎日迎えてきてくれるし、ずっと一緒に居る。
両親の訃報を聞いた時、そばに居てくれたのは理佐だし、安心する存在。
だけど、理佐はあまり思ったことを口に出さないから
何を考えているか分からなかったりする。
でも、それは私も同じかもしれない。そんな私たち。
「愛佳、何ぼーっとしてんの。クラス表、もう出てるよ」
掲示板の所から理佐が私を呼ぶ。
「あ!3組。理佐と今年も同じだ!」
「わたしも一緒だぞ!」後ろから声した、オダナナだ。
織田奈那とは1年生の時から同じクラスで、部活メンバーだ。
3組の教室に入ると、もうほとんどが来ているようで、
ざわざわしていた。沢山のおはようが私たちにふりそそぐ。
女子野球部の私たちにはファンが多く、オダナナはともかく、
私と理佐にはファンクラブなるものがあるらしい。
席は名前順で、サ行の私は真ん中の列の一番後ろ。
まだ先生が来ないので、理佐の席に遊びに出掛けた。
そこで大事な人と出会うことになるとも知らず。
避雷針①
「ねーねー 休憩しようよ。りさー」
「まだ5分しか経ってないじゃん。愛佳、集中。」
テスト前、愛佳の家でやる勉強会はいつも通りだった。
いつも通り、愛佳は早々に集中力がきれる。
前触れはなにも無かった。
愛佳はあごを机につけて嫌々、ノートと向き合っていた。
でも鉛筆は動いているので、良しとしよう。
突然、1階にある電話が鳴る。
「愛佳鳴ってるよー」「いま、行くってば!」
愛佳はかけって階段を下りて行った。
その時、何だか嫌な予感がした。
電話を取りにいってから愛佳が戻ってこない。
何かあったのだろうか、心配になって階段を下りる。
愛佳は泣いていた。
何があった?冷静を装って声をかける。
「・・・お父さんとお母さんが死んじゃった。なんで・・なんで・・」
反射的に愛佳を強く抱きしめていた。
「愛佳はひとりじゃない。私がずっと一緒にいる。だから泣かないで」
その日、私は決意した。
愛佳をこれから守っていく、と。