避雷針①
「ねーねー 休憩しようよ。りさー」
「まだ5分しか経ってないじゃん。愛佳、集中。」
テスト前、愛佳の家でやる勉強会はいつも通りだった。
いつも通り、愛佳は早々に集中力がきれる。
前触れはなにも無かった。
愛佳はあごを机につけて嫌々、ノートと向き合っていた。
でも鉛筆は動いているので、良しとしよう。
突然、1階にある電話が鳴る。
「愛佳鳴ってるよー」「いま、行くってば!」
愛佳はかけって階段を下りて行った。
その時、何だか嫌な予感がした。
電話を取りにいってから愛佳が戻ってこない。
何かあったのだろうか、心配になって階段を下りる。
愛佳は泣いていた。
何があった?冷静を装って声をかける。
「・・・お父さんとお母さんが死んじゃった。なんで・・なんで・・」
反射的に愛佳を強く抱きしめていた。
「愛佳はひとりじゃない。私がずっと一緒にいる。だから泣かないで」
その日、私は決意した。
愛佳をこれから守っていく、と。